不動産投資

アパート経営を行っていると発生する税金とは?|計算や節税の方法を紹介

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アパート経営は毎月の家賃収入が主な収益源となる投資方法であり、株式投資などに比べて安定した収入が期待できます。しかし、アパート経営のような不動産投資では課税される税金も多く存在します。

本稿では、そんなアパート経営を行っている最中に発生する税金について解説します。

なお、アパート経営スタート時に支払うことになる不動産取得税や登録免許税などについては、下記の記事で解説していますので、こちらもご参照ください。

アパート経営にはどのような費用がかかる?自己資金はいくら必要?

アパート経営で発生する税金

アパート経営を行い収益を得ると譲渡所得税/住民税の支払い義務が発生します。

さらに、物件にかかる固定資産税/都市計画税や、収入次第では個人事業税/消費税の納税も必要です。

不動産所得税

アパート経営で年間を通して得た家賃収入は所得税が発生します。

所得税には「総合課税」「分離課税」の2種類の考え方があり、総合課税では不動産所得・給与所得などを合わせて計算し、分離課税では別々の税額を計算します。

アパート経営にかかる家賃収入は総合課税の不動産所得に分類され、収入が増えるほど税率も高くなっていく累進課税制度で、所得金額に応じた税率・控除額は以下の通りです(1)。

住民税

住民税は、所得税と同様に所得に応じた課税が行われる税金で、所得税が国に納めるのに対し、住民税は各都道府県や市区町村に支払います(2)。住民税の算出方法については「所得額 × 10%(本則税率)」です。

固定資産税/固定資産税

土地/家屋を所有していると、毎年支払う必要がある税金に固定資産税があります。

固定資産税額の算出方法は「固定資産税評価額 × 1.4%(本則税率)」となります(3)。

 

固定資産税評価額とは行政によって定められた各固定資産の価値であり、不動産の場合は時価の6〜7割ほどです。固定資産税については申告するのではなく、市区町村から毎年送られてくる納付書に従って納税します。

 

都市計画税についてはアパートを所有していれば必ず課税される訳ではなく、納税額義務が生じるのは自治体が指定したエリアにある不動産を所有している場合のみです。

都市計画税の計算方法は「固定資産税評価額 × 0.3%(本則税率)」であり、市町村が都市計画事業・土地区画整理事業に充てるための費用として徴収されます(4)。

個人事業税

アパート経営で一定以上の家賃収入を得た場合、個人事業税が課税されます。アパート経営においては「10室以上、利益が年間300万円以上になった課税」と把握しておきましょう(5)。

 

個人事業税は「所得金額 × 5%」で計算されますが、年間290万円は事業主控除が適用されますので、収益がそれ以下の場合は課税されません。これは“最終的な収益”に適用されますので、年商300万円以上であったとしても、経費などを差し引いて290万円以下になれば控除を受けることが可能です。

消費税

アパート経営で「貸事務所」「貸し駐車場(居住者以外)」などを行っていた場合、そこから得た賃料は消費税の課税対象となります。居住者用の駐車場の貸し出しは非課税ですが、それ以外の第三者に貸し出すケースでは支払い義務が生じます。

なお、消費税の課税対象となるのは1月1日から6月30日までの課税売上が1,000万円以上になった場合です(6)。

 

アパート経営にかかる税金の計算方法

上記のうち、不動産所得税と固定資産税については計算方法がやや複雑ですので、それぞれ個別に見ていきましょう。

不動産所得税の計算方法

前述の通り、アパート経営における不動産所得税は累進課税で、所得額に応じた控除が設けられています。さらに、不動産所得は課税前に必要経費を引くことが可能で、マイナスが出た場合は他の自分の所得と合わせて損益通算できます(7)。

以上をまとめた課税額の計算手順については、以下の通りです。

 

<1.不動産所得の計算方法>

家賃収入 - 必要経費 = 不動産所得

 

<2.課税不動産所得の計算方法>

不動産所得 - 所得控除 = 課税不動産所得

 

<3.不動産所得税額の計算方法>

課税不動産所得 × 税率 = 所得税額

固定資産税の計算方法

前述したように固定資産税は「固定資産税評価額 × 1.4%(本則税率)」で計算するのが基本ですが、アパートのような住宅用地については以下の通り税率の軽減措置を受けられますので、それぞれ軽減後の税率で納税額を算出します。

上記の通り、敷地面積次第では固定資産税を大幅に抑えることができますので、経営する物件を選ぶ際に、判断基準のひとつにもなります。

なお、固定資産税評価額は3年に1回の頻度で再評価が行われますが、再評価後の額については不動産オーナーに納付書が送られてきますので、念頭においておきましょう。

アパート経営における課税額を抑える方法

前述したアパート経営にかかる税金は節税することで課税額を押さえられます。

方法としては「必要経費の計上」「青色申告による控除」があげられますので、それぞれ個別に解説します。

アパート経営をする上で必要な経費を計上する

アパート経営にかかる所得税の課税対象金額は、年間の収入から各種経費を差し引いて計算すると前述しましたが、実際に経費として計上できる使用用途としては以下の通りです。

 

<アパート経営で経費として計上できる使用用途>

  • 減価償却費
  • 管理費
  • 広告宣伝費
  • 各種保険料
  • 修繕費
  • 士業への手数料
  • 固定資産税/都市計画税
  • 個人事業税
  • ローンの利子
  • 各種消耗品
  • 水道光熱費

 

上記のうち、減価償却とは物件取得費を1年で経費として計上するのではなく、何年かに分けて費用として計上することで、所得税額をおさえる節税方法です(8)。減価償却には「法定耐用年数」が定められており、その年数に応じて経費計上できます。

 

例えば、4,000万円で購入したアパートなら、20年目まで毎年200万円ずつ経費として計上可能です。2年目以降はキャッシュの支出がないにも関わらず帳簿上は経費が発生しますので、大幅な節税に繋がります。

 

上記以外にも、不動産経営に関わる会食や出張費なども経費として扱えるケースがありますので、こまめに領収書を残しておきましょう。

青色申告で課税申告を行う

アパート経営にかかる年間所得が20万円以上を超えた場合は確定申告を行う必要があります。確定申告には「青色申告」「白色申告」がありますが、青色申告なら経費として扱える費用の範囲が広く、最大65万円の控除を受けることが可能です。

 

青色申告を行うためには開業届を出して2ヶ月以内、青色申告を行う年の3/15までに事前申請をしなければなりません。さらに、複式簿記で資金の流れを記録し、財務諸表を作成する必要もありますが、白色申告に比較して節税につながります。

 

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まとめ

アパート経営を行なっていく上で納税し続けなければならない税金はさまざまですが、特に所得税や固定資産税は支払額も大きいため、計画的な資金計画が求められます。

各税金には控除額や税率の軽減制度が設けられていますので、しっかりと内容把握し、余分に納税しないように努めましょう。

参考:

※1

国税庁,「所得税の税率」,

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2260.htm,(2022/05/21)

※2

国税庁,「住民税」,

https://www.nta.go.jp/taxes/zeirishi/zeirishishiken/point2017/09.htm,(2022/05/21)

※3

総務省,「固定資産税の概要」,https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/149767_08.html,(2022/05/21)

※4

総務省,「都市計画税」,https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/149767_10.html,(2022/05/21)

※5

国税庁「個人事業税」

https://www.tax.metro.tokyo.lg.jp/kazei/kojin_ji.html,(2022/05/21)

※6

国税庁,「消費税のしくみ」,

https://www.nta.go.jp/publication/pamph/koho/kurashi/html/01_3.htm,(2022/05/21)

※7

国税庁,「所得税の税率」,

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2260.htm,(2022/05/21)

※8

国税庁「減価償却のあらまし」

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2100.htm,(2022/05/21)

 

 

【記事を書いた人】

江尻啓介

フリーランスのライター、コピーライター

「Webコンテンツ」「ネーミング」「セールスライティング」に加え、

「セミナー資料」「ホワイトペーパー」など幅広く執筆。

BtoB、BtoCを問わずクライアント企業が事業拡大を果たす一助となり、

今後の日本社会に貢献することを信念としている。