人生100年時代に、リタイア後の収益源を確保したり、副収入を得たりするための手段として注目が集まっている投資方法のひとつがアパート経営です。
そのようなアパート経営を始めるためには、まずは物件を取得しなければなりません。
アパートの取得方法としては建築という選択肢もありますが、本稿では「アパートを購入する場合」に焦点をあて、その方法や必要な資金について解説します。
目次
アパート購入までの流れ
アパート経営をはじめるにあたって、物件を購入するところから始める場合、一般的には以下のプロセスを経ます。
- 物件探しと買い付け
- 融資の審査を受ける
- 売買契約の締結
- ローン契約の締結
- 決済と引き渡し
物件探しと買い付け
購入する物件を探す前段階として、自身の収入やライフプランなどを鑑みつつ「どれくらいまでなら自己資金を用意できるのか」について考える必要があります。
なお、アパートローンなどの金融商品も利用することになると思われますが、一般的に借り入れられるのは年収の5~6倍ほどの金額です。
物件を探す手段として、主にインターネット上のポータルサイトや不動産会社が配布しているチラシ、あるいは不動産会社への直接の問い合わせなどとなります。
融資の審査を受ける
条件のいい物件を見つけたら、購入の申し込みを行うとのと同時に、ローンの事前審査を受けましょう。この際、特定の金融機関に断られることも想定して、複数の銀行に相談するつもりで何行か選定しておくのがベターです。
売買契約の締結
購入を希望するアパートの現オーナーとの交渉が終わり、各種条件が合意に至れば、売買契約を締結します。売買契約を締結する日には「物件に関する重要事項の説明→売買契約の締結→手付金の支払い」の手順を踏みます。
ここで言う重要事項とは、物件状態や売買契約にかかる規約などです。
ローン契約の締結
売買契約を締結すれば、融資を受けるためにローンの本審査が実施されます。なお、多くのケースにおいては購入することになるアパートを抵当に入れているでしょう。
その場合、金融機関による本審査では債務者となる予定の人物の収入や健康状態以外にも、「当該物件に融資を行うだけの担保としての価値はあるか」といった点が見られます。
この際、本審査にかかる機関としては金融機関ごとに差があるものの、およそ2週間から1ヶ月程ほどとなります。
決済と引き渡し
ローンの本審査に通れば、決済と引き落としが行われます。決済はローンの借入先の金融機関で行われるのが一般的です。この引き落としには、売主以外にも、不動産会社や当該金融機関の担当者、司法書士などが同席します。
引き落としが無事に完了すれば、晴れてアパートの購入が完了です。
アパート購入に必要な費用
アパートを購入する際には、物件取得費以外にも、税金や各種諸経費の支払いが求められます。大まかな予算感について、それぞれ見ていきましょう。
物件購入費
アパート経営の購入費用は、物件が建っているエリアの賃貸需要や築年数、構造などにより差が出ますが、「物件代 + 土地代」でおよそ数千万円規模になります。
なお、東京などの賃貸需要が高いエリアの物件を購入する場合は、1億円を超えるケースも珍しくありません。
なお、物件の状態によっては追加で修繕・改修費用が必要になるケースもあります。
各種税金の支払い
アパートを購入した場合、不動産取得税が課税されます。
支払いタイミングは物件取得から半年〜1年半が経過したときで、税額は「固定資産税評価額 × 3%(本則税率)」で計算されます(※1)。
それに加え、物件の所有権を移転する際に発生する「登録免許税」「印紙税」も支払う必要があります。
登録免許税は「固定資産税評価額 × 0.4%(本則税率)」で算出され、本来は家屋と土地の両方が課税対象ですが、現在は令和3年度に行われた税制改正により、令和5年3月31日までは土地にかかる登録免許税が免除されます(※2)。
印紙税はアパート購入時の売買契約書に貼り付ける収入印紙の購入する形で納税する税金です。収入印紙の費用は物件の価格次第で変動しますが、高くても6万円となっています(※3)。
諸経費
アパートを購入する際に、各種書類の用意や登記作業を司法書士へ依頼すれば10万円前後の依頼料が必要になります。
さらに、「ローンの手数料」「損害保険料」「不動産会社への仲介手数料」なども発生しますので、あらかじめ念頭におきましょう。
アパート購入後に必要な費用とローンの考え方
アパート経営では維持管理費をはじめとするランディングコストが発生します。
アパートの購入で手元のキャッシュが枯渇し、こういった必要経費の支払いができないといった事態に陥らないよう、事前に把握しておくことが求められます。
アパートを経営し続けると、物件の維持管理のためには毎月以下のような費用が必要になります。
<アパート経営で毎月発生する諸経費(※ローン返済を除く)>
- 光熱費…5,000円~1万円程度
- 損害保険料…1万円~10万円程度
- 管理費…家賃の5%前後
さらには、アパート経営では退去者が出たり、設備が故障したりするなどの理由で、都度発生する支出金についても踏まえておかなければなりません。具体例としては、次の通りです。
<アパート経営でその都度発生する諸経費>
- 入退去時のリフォーム代…10万円程度
- 設備交換費用…10万円程度/1設備
- 入居者募集費用…家賃の1ヶ月分(※管理会社との契約内容次第)
- 大規模修繕…100万円~200万円(※10年から15年に一度)
こういった費用以外にも、アパートを所有し続けるだけで毎年固定資産税の支払いが発生しますので、資金は常に余裕を持たせるようにしましょう。
アパートを購入する際の注意点
不動産経営目的でアパートを購入する場合、実際に経営をはじめた後に資金繰りが悪化しないように、収益を高く保つための手段について考えておく必要があります。
キャッシュフローについて考えておく
キャッシュフローとは、アパート経営における主な収益源である家賃収入から、経営にかかる経費を差し引いて手元に残る資金を指します。前述したように、アパート購入後もローンの返済などの固定で発生する経費以外にも、突発的な支出金が発生します。
経費を使いすぎて、キャッシュフローが不健全な状態ですと、物件設備が故障したタイミングなどで支払いができない可能性が懸念されます。
各種リスクについて想定しておく
アパート経営では、収益悪化につながるリスクが数多く存在します。
例えば、空室状態が続く空室リスクや、台風や地震などにより物件が損壊する災害リスクなどです。
こういったリスクの中には予想不可能なものも多々ありますが、前述したキャッシュフローについて考える際には、なるべく多くのリスクを想定しておくことが求められます。
なお、アパート経営にかかるリスクについては下記の記事で解説していますので、合わせてご参照ください。
アパート経営で発生するリスクには何がある?対処法とセットで解説
早期売却も視野に入れておく
アパート経営で安定的な収入を得るためには、さまざまな要因について勘案しておかなければなりません。
一方で、それでも投資活動が上手く行かないケースも往々にしてあります。
そのような状況に陥れば、早期にアパートを売却してローンを返済する“出口戦略”についても考えておくことが求められるでしょう。
通常、出口戦略とは十分な投資活動を行った後の物件売却を指しますが、収支が悪化した状況下ではなるべく被害を最小限に抑えるためにも、検討の余地があります。
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そのほか、物件購入にかかる不安や確定申告に必要なノウハウの蓄積など、アパート経営では欠かせない知識を得られます。
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まとめ
アパートを購入するために必要な資金は数千万円単位になることから、購入にあたってはローンを利用するのが一般的です。しかし、投資目的でアパートを購入するなら“買って終わり”ではありません。
その後のアパート経営で安定収入を得られるように、必要なランディングコストや各種リスクについて考える。その上で、健全な収支計画を検討する必要があります。
参考
※1
東京主税局,「所得税の税率」,
https://www.tax.metro.tokyo.lg.jp/shisan/fudosan.html,(2022/05/31)
※2
財務省,「登録免許税に関する資料」,https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/property/e08.htm,(2022/05/31)
※3
国税庁,「印紙税」,https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/inshi301.htm,(2022/05/31)