不動産投資

アパート経営ではなぜ出口戦略を描く必要があるのか?投資活動を成功させるため基礎知識

アパート経営ではなぜ出口戦略を描く必要があるのか?投資活動を成功させるため基礎知識 | サムネイル画像

近年は、FIRE達成や不労所得形成の手段として、注目されることも多い投資のひとつにアパート経営があげられます。

毎月安定した家賃収入による「インカムゲイン」が期待できるアパート経営ですが、一方で「どうやって投資を終わらせるのか」との出口戦略も重要です。

本稿では、そのようなアパート経営にかかる出口戦略の策定方法を解説しますので、ぜひお役立てください。

アパート経営はなぜ「出口戦略」が重要なのか?「インカムゲイン+キャピタルゲイン」の考え方

不動産投資における出口戦略とは「購入した不動産の売却」を指します。株式投資と同様に、不動産投資でも「投資対象物件の売り抜け」に失敗すると、それまでに得た利益を失いかねません。

 

アパート経営にかかる最終的な収益は「(家賃収入-経費)+ 売却益」です。家賃収入の定期的な収益は「インカムゲイン」、最終的に物件売却で得られる利益は「キャピタルゲイン」と呼びます。

 

アパート経営において出口戦略を策定する際には、この「インカムゲイン + キャピタルゲイン」を勘案した計画が必要になり、それこそが「最終的に不動産投資をどう終わらせるのか」という出口戦略に他なりません。

アパート経営における出口戦略

収益物件のまま売却する

アパートのような収益物件の出口戦略としては、物件売却が最も有効な手段です。安定した収益を期待できる物件であれば、そのまま第三者に譲渡した方が高い金額で売却できる可能性があります。

 

一方で、築年数の経過によって物件が老朽化していた場合は、リフォームやリノベーションが必要になります。特に、空室が続いていて、経営状態が思わしくない場合にはこういった“物件の状態を良くする”取り組みが求められるでしょう。

更地にして売却する

リフォームやリノベーションを活用したとしても、そのままでは売却できる可能性が低いと予想されるケースでは、更地にして土地のみを売るという選択肢もあります。 使い道のない築古の物件であれば更地にしてしまった方が、買い手としてもその後の利活用がしやすいため、購入の意思決定もよりスムーズに行えるでしょう

 

一方で、既存の入居者に対しては退去のための交渉を早い時期から行なっておく必要があります。それを考慮すると、更地での売却は物件をそのまま売却する場合に比べて、より綿密な計画が求められる出口戦略と言えます。

保有し続ける

アパート経営の出口戦略としては“アパートの経営そのものを辞める”という点に着目すれば、物件(あるいは土地のみ)を保有し続けるという選択肢もあります。例えば身内に生前贈与する。あるいは自宅用として建て替えるなどです。

 

相続時精算課税制度を活用すれば、原則として「60歳以上の父母または祖父母から、20歳以上の子または孫に対し財産を贈与した」ケースにおいては、2,500万円までは贈与税が非課税となります。

 

自宅として建て替える場合においても、自分や家族の資産として有効活用できます。ただし、自宅として建て替える場合には更地にするケースと同様に、入居者に対する退去願いを早い段階からしておかなくてはなりません。

アパートの価値の決まり方は「収益性 × 資産性」

アパートの資産価値を判断する際の着眼点としては「収益性」「資産性」の2種類があります。

収益性

収益性とは、物件を賃貸として貸し出している場合に、得られる利益から物件価格を割り出す方法です。収益性の計算方法は「年間の家賃収入 ÷ 期待利回り」の計算式です。

 

期待利回りとは「物件の利回りがどの程度であれば売れるか」をもとにして、仮で算出した利回りです。これは「キャップレート」とも呼ばれ、立地条件や築年数、入居率などを勘案して決定されます。

 

所有しているアパートの期待利回りについては、不動産ポータルサイトなどで同条件の築年数・立地の物件を確認すれば、おおよその相場感について想定できます

資産性

資産性とは「入居率が悪い」「土地面積に対して建物が小さい」などの理由で、収益性がない物件に対して適用される価格の決め方です。例えば収益性の低い物件の場合、更地だと5,000万円の価格がつくにも関わらず、アパートが建っているという理由で半分以下の売却価格になってしまうケースもあります。

 

それを避けるために用いられるのが資産性による価格の決め方です。資産性を決定する要因は様々ですが、一般的には更地として売却した場合の価格の9割程度になります。

出口戦略として「売却」を選択するならどのタイミングで行うべき?

短期譲渡から長期譲渡になるとき

アパートを売却した際に課税される譲渡所得税については、所有期間5年を境に税率が以下のように変動します(1)。

そのため「なるべく5年を過ぎてから売却しよう」と言われるケースも多いのですが、一方でアパート経営において5年以内に売却する局面は非常に珍しいでしょう。 

 

アパート経営は長期にわたって家賃収入を得ていくモデルの投資方法ですので、短期での売却を必要になるケースといえば「毎月のローンの返済額や固定資産税の支払いが難しくなった」ケースが考えられます。

 

そのような場合においても、なるべく5年を過ぎてから売却したほうが税率的にはメリットがありますので、手元のキャッシュも鑑みつつ検討しましょう。

減価償却が終了するタイミング

アパートのような不動産を購入した際には、減価償却を行って節税に繋げるのが一般的です。減価償却とは、不動産購入時に支払った費用を、購入した年から何年かに分割して経費として計上するシステムです。

 

減価償却なら2年目以降も現金支出を伴わない経費計上ができますので、不動産所得税の課税額を抑えられます。

 

この減価償却が終了するタイミングは、必然的に課税額が増えるということになります。そのため、減価償却の終了に合わせてアパートを売却すれば最終的なて残りの金額を多くできる可能性があります。

デッドクロスに陥るとき

減価償却の期間内であっても、物件購入に利用したローンの元金返済額が、減価償却費を上回る「デッドクロス」の状態に陥るなら、早急に出口戦略を検討しなければなりません。

  

デッドクロス状態に陥った物件は帳簿上は黒字であったとしても、手元にはキャッシュがほとんどない状態に陥ってしまいます。そのため、空室率の上昇や物件の修繕などが必要になった際に対応できない可能性が高まってしまうのです。

 

なお、デッドクロスについて詳しくは同ブログの以下の記事でも紹介していますので、併せてご参照ください。

 

アパート経営で注意するべきデッドクロスとは?回避の方法について解説

アパート経営スタート前に必要な出口戦略にかかる考え方

家賃の下がらない物件を選ぶ

前述のとおり、アパートの資産価値は収益性や資産性から算出されます。そのため、出口戦略を描くうえでは、購入後も価値が下がらない物件を選ぶ方が賢明です。

 

新築の物件であったり、賃貸需要の高いエリアに建っていたりするアパートなら、出口戦略もよりスムーズに描きやすいでしょう。

なるべく自己資金を多く用意する

アパート経営に際して、なるべく多くの自己資金を投入すれば、ローンの借入額を抑えられますので、より柔軟に出口戦略を描けます。アパートを売却したいタイミングでローンの残債がある場合は、借入先の金融機関に相談したうえで一括返済する必要があります。


アパート経営に必要な知識をプロから学べる無料セミナー

MONEY PRODUCEは、人生100年時代にFIREを達成したい人をサポートする無料セミナーです。

 

アパート経営では重要度の高い出口戦略について、お金の専門家であるFP(ファイナンシャル・プランナー)に直接相談したり、投資計画を達成するための目標金額・達成までにかかる期間などの計算を完全サポートいたします。

 

そのほか、物件購入にかかる不安や確定申告に必要なノウハウの蓄積など、アパート経営では欠かせない知識を得られます。

 

参加は無料となっていますので、「アパート経営を始めたいけど、何をすればいいかわからない」という方は以下のフォームよりお気軽にお問合せください。

まとめ

アパート経営を最終的に成功させるためには、“家賃収入をどの程度得られるのか”というインカムゲインだけではなく、“物件をどうやって売却するのか”というキャピタルゲインを踏まえた出口戦略ついても考えなければなりません。

 

投資の成功の可否は、最終的に投資額に対してどのぐらいの利益を得られたかによります。安定経営ができたとしても物件を思うように売却できず、最終的な手残りの金額が少なくなってしまっては本末転倒です。

 

アパート経営の出口戦略については、足元の経営状況も鑑みつつ柔軟に判断するようにしましょう 。

※1

国税庁,「土地や建物を売ったとき」,https://www.nta.go.jp/publication/pamph/koho/kurashi/html/05_2.htm,(2022/06/25)

 

【記事を書いた人】

江尻啓介

フリーランスのライター、コピーライター

「Webコンテンツ」「ネーミング」「セールスライティング」に加え、

「セミナー資料」「ホワイトペーパー」など幅広く執筆。

BtoB、BtoCを問わずクライアント企業が事業拡大を果たす一助となり、

今後の日本社会に貢献することを信念としている。