不動産投資

アパート経営の「利回り」の勘所|計算方法や見極めのポイントを解説

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アパート経営を行って入居率を高く維持できれば、毎月安定的な家賃収入を得られます。

そんなアパート経営を行うにあたって事前に勘案しておくべき事柄が、投資額に対する「利回り」です。

本稿では、アパート経営における利回りについて、その計算方法や数値に対する考え方を解説します。

そもそも「利回り」とは?

利回りとは、投資額に対して得られる利益の割合です。

利回りは株式投資などでも用いられる考え方ですが、アパート経営のような不動産投資においては年間の利益率についてみるための数値となります。

アパート経営は利回りが年々下がりやすい傾向にあり、理由としては「経年劣化による物件価値の低下」「毎月発生する維持費などの費用」があげられます。

さらに、アパート経営参入初期に変動金利型のローンを組んでいるなら、金利が上昇することにより利回りが悪化する可能性も考えられるでしょう。

 

なお、利回りの計算については、不動産投資連合体が提供している「収益・投資物件 簡易収支シミュレーション」などのツールを使用すれば手間がかかりません。

引用:https://www.rals.co.jp/invest/info.htm

 

利回りの計算方法

以上の理由から、アパート経営で安定的な収益を得るためには、利回りを正確に把握しておくことが欠かせません。

利回りには「表面利回り」「想定利回り」「実質利回り」の3種類がありますので、以下より解説します。

 

表面利回りの計算方法

表面利回りは、物件の取得費用に対して、年間の不動産収入の割合がいくらになるのかをざっと表す数値で、「年間利益 ÷ 物件取得費」で導き出せます。

 

非常にシンプルな計算方法ですが、支出金については勘案されないため、実際に得られる利益よりは高い数値が出るのが一般的です。そのため、あくまで参考程度に留めておきましょう。

 

想定利回りの計算方法

想定利回りは、物件の取得価格に対してアパートの満室状態を維持できた場合を踏まえて算出する数値です。計算式は「年間収益の最大収益 ÷ 物件取得費」となります。

 

表面利回りと同じく諸経費については見ず、空室であるかどうかも考えない利回りですので“アパート経営で得られる収益のポテンシャル”との捉え方が適しています。

 

実質利回りの計算方法

実質利回りは「空室の発生」「年間で必要な維持管理費」などを踏まえて算出する利回りで「(年間の最大収益 - 年間支出) ÷ 物件取得費」で計算します。 

 

他の利回りとは異なり諸経費を踏まえた計算をするため、正確な数値を出すためには多くの要素を考慮しなければなりません。その分、現実的な数値を算出できるため、判断材料としては最も適しています。

 

アパート経営の利回りが変動する要因

前述の通り、アパート経営においては利回りの数値が変動しやすいのですが、主な要因としては「家賃収入」「毎月/毎年発生する必要経費」があげられます。

 

家賃収入

アパート経営における不動産収益は、ほとんどが家賃収入に依存しています。それに加えて「礼金や更新料」「駐車場代」「自動販売機の売上」などもアパート経営における収入源ではありますが、優先的に検討するべきは毎月の家賃収入です。

 

複数の部屋に入居者を募るアパート経営では、空室が発生すればそれだけ毎月の収入が減ってしまいます。その状態が長く続けば収益はたちまち悪化し、当初「このくらいは欲しいな」と考えていた利回りを大幅に下回ってしまいかねません。

 

毎月/毎年発生する必要経費

アパート経営においては、固定資産税の支払いが毎年必要であったり、共用部分の光熱費が発生したりします。

それに加え「物件設備が破損する」「退去者が出た」などのケースでは修繕・リフォーム費用の支払いが必要です。

 

このように、アパート経営では多くのランニングコストが発生します。

特に、修繕費などの突発的な支出は、当初想定した利回りに影響を与え得る要素ですので、なるべくこういった変動費についてもあらかじめ勘案しておくことが求められます。

 

なお、確定申告も踏まえたアパート経営にかかる費用については、以下の記事でも解説していますので合わせてご参照ください。

 

アパート経営で経費に含まれる資金の用途は?経費計上の勘所も解説

 

アパート経営の利回りにかかる勘所

では、アパート経営における利回りについて計算するために、あらかじめ念頭においておくべき要因について、以下より解説します。

 

実質利回りで計算する

前述の通り、表面利回り・想定利回りは諸経費を踏まえない数値ですので、実際に経営をする上では実質利回りを計算することが必要です。

 

一方で、アパート経営をはじめる前段階では諸経費などの細かい部分まではみえないため、なんとなくの収益を判断するために表面利回り・想定利回りを用いるのも間違いではありません。

 

修繕費は差し引いて計算する

アパート経営では、5年程度のスパンでエアコンなどの物件設備のメンテナンスが必要になったり、10年ごとに外壁や屋根、水回りの入れ替えなどが必要になります。このような設備のメンテナンスや入れ替えはまとまった支出が発生するため、利回りを算出する上では、あらかじめ想定しておくことが必要です。

 

空室はあらかじめ想定しておく

前述の通り、アパート経営で空室が発生すれば、利回りが低下してしまいます。

実際の空室率については経営をしてみないとわからないものの、アパート経営にかかる利回りを考える上では空室を想定した利回りを算出し、それをもとに資金繰りの計画を立てる必要があります。

 

空室率は「(空室数×空室期間) ÷ (全体の室数×365日)」で算出できます。空室率を考慮した実質利回りの計算方法については「 (年間収益 - 年間支出) ÷ (取得費 + 取得時の諸経費)  ×  (100 - 空室率)」です。

 

金利上昇も踏まえる

アパートローンのような金融商品には「固定金利型」「変動金利型」の2種類があります。この際に、変動金利型の商品を選んで融資を受けていれば、定期的な金利の見直しにより、金利が上昇する可能性が懸念されます。そうなってしまうと、毎月の返済金額が上昇しますので、資金繰りがたちまち悪化してしまいかねません。

 

家賃下落も念頭に置いておく

アパート経営では当初設定した家賃を保ち続けられるとは限らず、空室が長引いているため入居者を募る上で仕方なく家賃を下げなければならないケースも想定されます。そのようなケースでは、他の入居者から「自分の支払っている家賃も下げて欲しい」と言われることも想定されます。

 

利回りをあげるコツ

なるべく利回りを高くたもつためには「収益は高く維持しつつ、支出金は少なく抑える」との思考が必要です。それを踏まえた上で、利回りを高く維持するための施策としては以下のようなものが考えられます。

 

  • なるべく物件取得費を安くする
  • 小さめの間取りを選択する
  • 魅力的な仕様のある物件を経営する
  • 賃料を上げられる付加価値をプラスする
  • 管理コストをかけすぎない

 

ほかにも検討できる施策は多々ありますが、アパート経営においては最終的に物件を手放す出口戦略までを描く。その上で、全体の投資額を上回る利益をどれだけ得られるのかとの思考を持つことが求められます。

 

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まとめ

利回りには「表面利回り」「想定利回り」「実質利回り」の3つがありますが、具体的に投資を検討したり、資金計画を立てるためには諸経費も踏まえた実質利回りをみる必要があります。

 

アパート経営では、空室や修繕の発生など、想定外の支出も多々発生しますが、なるべくそういった要因も踏まえつつ、投資全体の利益率についてみることが大切です。

 

【記事を書いた人】

江尻啓介

フリーランスのライター、コピーライター

「Webコンテンツ」「ネーミング」「セールスライティング」に加え、

「セミナー資料」「ホワイトペーパー」など幅広く執筆。

BtoB、BtoCを問わずクライアント企業が事業拡大を果たす一助となり、

今後の日本社会に貢献することを信念としている。