アパート経営のような不動産投資で毎月の家賃収入を得ていけば、ほとんどのケースで確定申告が必要になります。
一方で、サラリーマンをしつつアパート経営を行おうと考えている場合、確定申告のやり方について不安を感じる方も多いのではないでしょうか。
本稿では、そのような方に向けてアパート経営にかかる確定申告について解説しますので、ぜひお役立てください。
目次
どのようなケースで不動産所得の確定申告が必要になる?
そのほかの副業と同様、アパート経営において、家賃収入をはじめとする不動産所得が年間20万円を超えた場合は確定申告を行う必要があります。
この際に課税対象となるのは不動産“所得”であり、“収入”ではありません。
つまり、年間のアパート経営における総収入額から、必要経費を差し引いた金額が20万円超えであった場合に確定申告の義務が発生します。
なお、不動産所得が年間20万円を超えていなかったとしても確定申告を行った方がいいケースも存在します。それはアパート経営が「家賃収入 < 経費」の状態になり、赤字になってしまっている場合です。
このようなケースでは、本業の給与所得とあわせて「損益通算」を行うことで、給与所得にかかる所得税を減税できます。
【青色申告で解説】確定申告の流れ
確定申告には「青色申告」「白色申告」があります。
青色申告なら最大65万円の控除を受けることが可能で、経費として扱える予算の使途も多いため、アパート経営における確定申告では基本的にこちらを選ぶのが懸命です。
青色申告を行うためには事前申請が必要で、開業届を出して2ヶ月以内、もしくは青色申告を行う年の3/15までのどちらかとなります。さらに、複式簿記で資金の流れを記録した上で、財務諸表を作成することも求められます。
提出書類の用意
青色申告においては多くの書類を用意しなければならず、以下のようなものの準備が必要です。
<青色申告で必要な書類>
- 青色申告決算書
- 確定申告書B
- 売買契約書
- 賃貸借契約書
- 送金明細
- 売渡精算書
- 借入返済表
- 源泉徴収票
- 固定資産税通知書
上記に加え、「損害保険の証券」「各種領収書」などの準備も求められます。
損害保険の証券とは、経営するアパートが加入している保険の内容を記載した書類であり、契約時に保険会社から送付されてきます。
各種領収書についてですが、アパート経営で発生した諸経費を申告するためには、それぞれの領収書も残しておかなければなりません。
なお、現在はe-taxなどを使わない申告については、控除額が65万円から55万円に減額されますので注意しましょう。
青色申告決算書の準備
前述した青色申告で必要な資料のうち、青色申告決算書については国税庁の「所得税の青色申告承認申請手続」のページからダウンロードできます。
引用:https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/09.htm
青色申告決算書を上記ページからダウンロードすれば、内容を記入し、自身が納税するエリアの税務署に提出します。
さらに決算書の作成方法としては、税務署や地方公共団体の会場、各種会計ソフトで用意するという選択肢もあります。
確定申告書Bについて
確定申告書にはAとBの2種類がありますが、アパート経営においては確定申告書Bを使用します。確定申告書Aを使うのは、2ヵ所以上の勤務先で働いている場合や、医療費控除を受けようとするケースなどです。
確定申告書Bには第一表と第二表があり、記入する内容としては以下のものとなります。
<確定申告書B 第一表の記入事項例>
- 住所・指名
- 収入金額など
- 所得金額など
- 所得から差し引かれる金額
- 税金の計算
- 延納の届出
<確定申告書B 第二表の記入事項例>
- 住所・屋号・氏名
- 所得の内訳
- 総合課税の譲渡所得、一時所得に関する事項
- 保険料控除等に関する事項
- 本人に関する事項
- 雑損控除に関する事項
- 寄附金控除に関する事項
- 配偶者や親族に関する事項
- 事業専従者に関する事項
- 住民税・事業税に関する事項
申告書の提出方法
国税庁のページで確定申告書を作成した場合、確定申告書の提出方法としては以下の2パターンがあります。
- e-Taxで提出
- 印刷して所轄の税務署へ郵送、あるいは持参
なお、自身の所轄税務署を調べる場合は、前述した国税庁のページにおいて郵便番号を入力すると検索可能です。
アパート経営の確定申告で必要な経費の考え方
アパート経営で経費として計上できるもの
アパート経営ではなるべく経費を計上することで所得税を抑えられると前述しましたが、不動産投資において申告可能な経費としては以下の通りです。
<アパート経営で経費として計上可能な使途>
- 各種税金
- アパートの減価償却費
- 物件管理費
- 修繕費
- 入居者募集のための広告宣伝費
- 各種保険料
- ローンの利息分
- 通信費
- 仲介手数料
- 司法書士などへの報酬
- 立ち退き料
- 青色従事者への給与
- 書籍代
- 接待交際・交通費
- 事務用品費
上記の内、「各種税金」とは固定資産税や不動産所得税などの、アパート経営にかかる税金全般です。さらに、「減価償却費」とはアパート取得費を1年で経費として計上するのではなく、法廷耐用年数に応じて各年ごとに分散させた費用となります。
アパート経営における経費について、詳しくは下記の記事で紹介していますので、こちらもご確認ください。
アパート経営で経費に含まれる資金の用途は?経費計上の勘所も解説
過剰な経費計上に注意
経費をなるべく多く計上すれば節税につながるからと言って、費用を使い過ぎればキャッシュフローが悪くなり、結果的にアパート経営で得られる収益が少なくなってしまいます。
短期的には節税メリットがありますが、長期的にみた場合は金融機関からの評価が下がってしまったり、手残りの資金が少なくなったりしかねません。
現在経営しているアパート以外にも、今後も投資の幅を広げていく予定があるのなら、ローンの審査が通りやすくなるように“収入金額”を高く維持することも必要です。
さらに、上記した用途以外にも、アパート経営関連の経費として処理できるのかどうか、判断に迷うケースも発生するかも知れません。そのような場合は、事前に税理士などの外部専門家に意見を求めるようにしましょう。
なお、過剰に交通費や交際費を計上しすぎていると税務署から判断されれば、脱税を疑われる可能性がありますので留意する必要があります。
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まとめ
アパート経営で確定申告が必要になるのは、年間の家賃収入が20万円を超えた場合ですので、“ほぼすべてのケース”において確定申告を行わなければなりません。
確定申告の方法としては、控除額が大きく、経費の適用範囲も広い青色申告が適しています。
経費として計上できる使用用途は多岐にわたりますので、常に領収書などを残すように癖づけ、毎年度末の確定申告に備えましょう。