この記事でわかること💡
・ウッドショックとは何か
・何が原因でどんな影響があるのか
・どう行動するべきか
この記事は7分ほどで読み終わります。
住宅を建てようと考えている方や、不動産投資を検討している方は、
このウッドショックという言葉を聞いたことがあると思います。
今回はウッドショックとは何か、何が問題になっていて今後どのような影響が考えられるかについて解説していきます。
目次
ウッドショックとは何か
ウッドショックとは、世界中で貿易が滞り輸入木材の価格が高騰していることで、
かつてのオイルショックから名付けられた用語です。
なんでウッドショックが起きたの?
あまり知られていませんが、実は過去に2回の木材ショックがありました。
1回目は1990年代以降、米国で絶滅危惧種フクロウの保護のために伐採が制限され、木材が不足したこと。
2回目は2008年のリーマンショック直前、好景気に伴い新築住宅が増え、
輸入木材の価格が高騰した不動産バブルと言われる時代です。
住宅需要が急増
では今回なぜ3度目のウッドショックが起きたのかというと、新型コロナウィルスの流行がきっかけとなっています。
コロナウィルスの流行により、ロックダウンや外出自粛でリモートワークや家で過ごす時間が急激に増加しました。
これに伴い、日本でも広い間取りの家に引っ越す人や、都市部から離れ田舎へ移住する人が増えましたが、
世界的に見ると特にアメリカと中国の住宅需要が急増しました。
別荘や住宅の建築・改築がブームとなり、木材需要が高まったのです。
アメリカでは新築住宅を建てる中心世代ともいえる、Z世代、ミレニアル世代の人口が増えてきています。
虫の害
また世界最大の木材輸出国であるカナダやアメリカでは、
虫害や森林火災による木材資源の減少が問題になっています。
このような状況に加え、新型コロナウイルスによる製材所の閉鎖や労働力の減少が重なり、
木材の在庫はさらに減少しているという状況です。
木材の供給が減ることで木材が不足し、価格の上昇につながったとされています。
コンテナ不足
コロナの震災は、世界的にオンラインショッピングの普及を後押しした。
輸送量が以前より増えたため、コンテナの在庫が追いつかなくなったのです。
輸送用コンテナの不足により、木材の輸入が減少しています。
また、2021年3月にスエズ運河で大型コンテナ船が座礁したことは記憶に新しく、
この事故が生んだ損害は1,100億円にまで達し、日本へのコンテナ輸送の遅延にも繋がっています。
日本が木材を購入できたとしても、コンテナ不足で日本に木材が輸送されない可能性があり、
木材の供給はますます不透明になっています。
第二のウッドショック
新型コロナウィルスで貿易が滞ったことにより、今回のウッドショックが起こりました。
ですが、これに加えて第二のウッドショックが現在問題視されています。
ウクライナ危機
後ほど輸出元のランキングを記載しますが、結論から言うと日本は輸入木材にかなり頼っている国です。
その中でもロシアから輸入している木材は多くの割合を占め、建築の現場でもロシア産木材は頑丈で丈夫だと人気です。
ですが、今回のロシア・ウクライナ危機をきっかけに、
ロシアのプーチン大統領が「経済制裁を行う日本などの非友好国に対して、一部の木材や木材製品の輸出を停止する」と発表しました。
これを合図にロシアから輸入できる木材量は限定され、その分価格も高騰しました。
もちろん、ロシア材の高騰となれば、他の国の木材、国産材の需要が上がります。
この悪循環で全体の価格が、さらに高騰しているのです。
日本の木材使用の状況
日本の木材はおよそ70%以上が輸入材であり、国産材の需要は30%程度です。
そのため今回のウッドショックで、日本はかなり影響を受けています。
特に、建築用木材が多く使用される住宅建設への影響は深刻です。
日本で使用されている木材の主な輸入先
日本はカナダやロシア、インドネシアやマレーシア、中国などと木材の貿易が盛んです。
データ出所:財務省貿易統計
現在ロシア材は、例年の2〜2.5倍ほどの値段に上がっています。
価格の高騰に伴って、予算により木材の購入を控える会社も少なくありません。
購入を控えても、今のうちにと購入を増やしても、全ての会社に行き渡る木材はありません。
このことから、建築現場の工期遅延などの影響が増えています。
契約をすでにしていたところに、ウッドショックの影響を受け工期遅延だけでなく「契約解消」なども各地で起きています。
なぜ国産材を使わないの?
なぜほとんどを輸入材に頼り、国産材を使わないのか、と思われる方もいると思います。
日本は確かに森林面積が広く、自力で多くの木材を収穫できそうですが、国産材への切り替えは簡単ではありません。
設計が輸入材を前提にしている
現在のハウスメーカーの建物設計は、輸入材の強度を前提にしたものが多く、
国産材に切り替えようとすると、建物の設計を最初から変えなければならない。
国産材に切り替えたからといって、デザインが変われば使用する木材の量も変わるので、必ずしもコストが下がるとは限りません。
供給が追いつかない
現状では、国産材への急激なシフトに供給体制が追いついていません。
労働者の減少により、国内林業の衰退が深刻化しているという点が理由となっています。
仮に柱用のスギやヒノキが供給できても、梁で使われるマツなどはすぐに市場の要求する量を供給すること難しいのです。
生産に時間がかかる
林業は長期的に計画された生産体制が必要だからです。
木材は植えてから市場に出るまで30年以上かかり、今一度に沢山を伐採してしまうとその後の林業に影響を及ぼします。
30〜50年の時間をかけて生産する産業であるため、
今回のウッドショックのような一時的な現象に生産者が即座にそして完全に対応することは不可能であると言えます。
ウッドショックはいつまで続くの?
ウッドショックがいつまで続くかは、今のところ不明です。
大手住宅メーカーは、物件価格がコロナ以前の水準に戻ることはないだろうと予測しています。
今後も住宅需要の高止まりが続けば、木材価格が回復しない可能性も否定できません。
現在、国産材価格は、丸太が2021年8月頃、製材が10月頃にピークを迎えています。
一方、輸入木材の価格は2022年3月以降、高値で推移しています。
またこれに加え、2022年のロシア・ウクライナ危機の影響も危惧されています。
今後しばらく価格が高騰した状態が続くことが予想されます。
価格の高騰は、このウクライナ危機をきっかけに逼迫してきています。
木材在庫があることによって、大幅な高騰をしていない会社もまだあります。
もしここ数年住宅や不動産の購入を考えている人は、今すぐ動き出すというのがキーポイントになるでしょう。
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