節税

住宅ローン控除とは?制度の仕組みやメリット、条件を解説!

住宅ローン控除とは?制度の仕組みやメリット、条件を解説! | サムネイル画像

12月は年末調整・確定申告の季節。

節税効果の高い制度と言えば、まず住宅ローン控除が挙げられます。

住宅ローン控除は税額控除であり、所得控除よりも高い節税効果を得られるのです。

今回は住宅ローン控除の仕組みやメリット・デメリット、条件などについてご紹介したいと思います。

 

制度概要:住宅ローン残高の1%を所得税から引ける!

住宅ローン控除とは、

住宅ローンを借り入れて返済をしている人の金利負担を軽減するために創設された制度のこと。

住宅ローンを払っている人は、毎年末の住宅ローン残高または住宅の取得対価のうち

いずれか少ない方の金額の1%を所得税から差し引くことができます。

 

差し引ける金額の上限は、一年で40万円。

差し引くことができる年数は、住宅ローン控除を受け始めてから10年間です。

 

また、消費税率10%が適用される住宅の取得をした場合には、

住宅ローン控除は13年間受けることができます。

サラリーマンは住宅ローン控除を新しく受けようとする場合、

初年度だけは確定申告が必要に。

次年度からは、税務署から送られてくる住宅ローン控除申告書と銀行から送られてくる

住宅ローン残高証明書を会社に提出することで、年末調整で住宅ローン控除を受けられるようになります。

 

住宅ローン控除は税額控除のため、節税効果がとても高い!

住宅ローン控除の最大の特徴は、「税額控除」であるという点。

「住宅ローンの年末残高×1%」の金額をその年の所得税の金額からダイレクトに差し引くことができるので、

還付金額を大幅に増やし、所得税の負担を下げられるようになるのです。

同じく年末調整で使用できる制度に「生命保険料控除」がありますが、

こちらは住宅ローン控除とは異なり所得控除に過ぎません。

試しに、所得控除と税額控除の違いについて試算してみましょう。

生命保険料控除と住宅ローン控除が共に12万円だった場合の、節税金額の試算は以下の通りになります。

※所得金額150万円、所得税率5%の場合

 

①生命保険料控除:12万円の場合 所得金額=150万円△12万円=138万円 所得税額=138万円×5%=6.9万円
②住宅ローン控除:12万円の場合 所得金額=150万円 所得税額=150万円×5%=7.5万円 税額控除=7.5万円△12万円=0円(マイナスにはなりません)

 

このように、住宅ローン控除は税金計算の一番最後に控除金額を差し引けるので、

かなり節税効果が高いのです。

 

所得税から控除しきれなかった分は住民税からも引ける

住宅ローン控除は節税効果が高いため、

しばしば所得税の金額より住宅ローン控除の金額の方が高いという現象が起こります。

その分は無駄になってしまうのかというと、そうではありません。

所得税から引けなかった住宅ローン控除は、住民税から引くことができるのです。

住民税から差し引ける控除上限額は一年で13.65万円。

所得税では40万円まで控除できるので、所得税と住民税合わせて最大53.65万円もの節税が可能になるのです。

 

控除のためには広さや用途などに細かい要件がある

節税効果が高く、10年にも渡ってその恩恵を受けられる住宅ローン控除。

適用のためにはやはり細かい要件をクリアする必要があります。

 

主な要件は以下の二つ。

①床面積が50㎡以上であること。

②借入金の償還期間が10年以上であること。

 

ある程度の広さの住宅を購入しないと住宅ローン控除を利用することはできません。

また、借入金の返済期間が10年以上ない場合は、

住宅ローン控除による利益が大きすぎてしまいますので利用できません。

 

あくまでも住宅購入者の金利負担分を軽減する制度なので、

逆に購入者が得をしすぎてしまうのは避けたいということなんですね。

ちなみに、住宅ローン控除の対象となる住宅は新築住宅に限りません。

一定の要件をクリアすれば、中古住宅の取得や増築リフォーム工事の金額にかかる借入金についても、

住宅ローン控除を利用することができます。

 

バリアフリー改修工事や省エネ改修工事などにも住宅ローン控除を使えるため、

家族の介護や家族構成の変化に合わせて利用するという手もあります。

 

おわりに:住宅ローン控除で節税!

ここまで、住宅ローン控除の仕組みやメリット・条件についてご紹介してきました。

住宅ローン残高の1%を所得税や住民税から直接差し引くことができ、

節税効果の高い住宅ローン控除。

生命保険料控除などの所得控除と比べてかなり節税できるというメリットがありますが、

適用するためには住宅の床面積や借入金の返済期間など細かい条件もあります。

サラリーマンの方が適用するためには初年度のみ確定申告が必要など、

手続き面でも決まりがありますので、まずは専門家にご相談してみてください。

 

【記事を書いた人】

安藤さくら子

ファイナンシャルプランナー

会計事務所に5年ほど勤務し、会社や個人をファイナンス面からサポート。その後フリーライターに転身し、お金に関する疑問や不安を中心に執筆活動をしている。