結婚式や出産、保育園・幼稚園への入園と、何かとお金のかかる結婚・子育て世代。
親世代の援助にも頼りたいけど、贈与税はいったいどれくらいかかってしまうのか……
その点が気になるという方もいらっしゃるでしょう。
そこで今回は、結婚・子育て世代の方が贈与を受ける場合の非課税制度についてご紹介していきたいと思います。
目次
結婚・子育て資金はお金がかかる
結婚・子育てと、人生のイベントが目白押しの20代・30代。
結婚式にかかる費用としては、2021年9月時点の平均で約300~350万円(ゲスト人数50人)かかるとされています。
その後も、妊娠・出産・幼稚園等への入園など、子育てには多くの資金が必要に。
妊娠してから出産までの費用は病院などによって異なるものの、
妊婦健診(数回)に数万円、入院・分娩費用に50万円ほどかかります。
保育料や幼稚園料は条件によっては無償となるものの、
食材費や行事費など保護者が負担すべき費用も少なくありません。
親世代から援助が受けられるならば受けたい、でも贈与税がいくらかかるのかが気になる、
というのがホンネではないでしょうか。
結婚・子育て資金の贈与には非課税枠がある!
親世代からの援助を受けたいけれど贈与税が心配。
そんな方に知っていただきたいのが、
「直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度」。
直系尊属、つまり親から結婚や子育てのための資金を一括で贈与した場合、
1,000万円までの贈与であれば贈与税が非課税になる制度です。
通常であれば贈与税の非課税枠は一年で110万円ですから、1,000万円の非課税枠は大きいですよね。
この制度によって贈与された資金は、
①挙式費用、結婚披露費用(衣装代など)、新居の家賃や敷金、転居費用といった結婚資金
(300万円まで)
②不妊治療・妊婦検診、分娩費や産後ケア、子の医療費や幼稚園・保育園の保育料
などに使うことができます。
結婚費用で300万円を使ったとしても、まだ700万円を子育て資金として使用可能。
通常の贈与によって1,000万円の贈与を受けた場合とこの制度で
1,000万円の贈与を受け資金を使い切った場合の贈与税の金額を比較すると、以下のようになります。
通常の非課税枠(110万円) | 結婚・子育ての非課税枠(1,000万円) | |
贈与税率(%) | 30%(控除額90万円) | 全額非課税 |
贈与税額(円) | 177万円 | 0円 |
※1,000万円以外に贈与が無かった場合。
通常なら117万円の贈与税がかかるところを、
結婚・子育ての1,000万円の非課税枠を使えば税金を0円にすることができるのです。
出費の大きい結婚・子育て時期に、この節税額は大きいのではないでしょうか。
制度を使う際の注意点
結婚・子育て資金の援助を受けやすくなる、1,000万円の非課税制度。
便利な制度ですが、適用するにはいくつか注意点もあります。
①受贈者が50歳になった時点で残った部分は贈与税が課税される
この制度を使って贈与を受けることができるのは、20歳以上・50歳未満の方のみ。
そして、受贈者(贈与を受けた側)が50歳になったときに、
この制度で贈与された結婚・子育て資金が残っていた場合、その時点で贈与税がかかることになります。
この制度で資金を贈与された場合は、50歳になるまでに資金をなるべく使い切ることが重要です。
②銀行を通して「結婚・子育て資金非課税申告書」を提出することが必要
この制度を使うためには、銀行を通して結婚・子育て資金非課税申告書を提出する必要があります。
また、贈与に関する契約書を書面で残すことも必要です。
1,000万円の贈与を受け、契約書を作る
↓
1,000万円を銀行に預け入れる
↓
銀行を通して申告書を提出する
といった流れで手続きを完了しましょう。
③結婚・子育てに関する支出をした場合は領収書を銀行に提出する
結婚・子育て資金の贈与に関する契約書を結び、銀行を通して申告書を提出しても、
それで終わりというわけではありません。
結婚・子育てに関して支出をするたびに、
その領収書を取っておいて銀行に提出しなければならないのです。
銀行に預けた分から引き出す形で支払いをした場合は支出をしてから一年以内に、
それ以外の場合は支出をした年の翌年3月15日までに、銀行に領収書を提出しましょう。
領収書は意外となくしがち・提出を忘れがち。
無駄な贈与税を払うことがないよう、領収書はしっかり保存・提出してください。
おわりに 賢く贈与を受けて負担を軽くしよう
ここまで、親世代から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の
贈与税の1,000万円の非課税制度についてご紹介してきました。
挙式費用や新居の家賃、出産費用や子どもの医療費・保育料まで、
さまざまな費用の元となる資金を税金の心配なく贈与できるこの制度。
申告書や領収書を銀行へ提出する必要があるなど、手続きという点において煩雑な面もあるので、
銀行や税理士等の専門家に相談しながら進めるのがよいでしょう。
制度を有効活用して、出費の多い結婚・子育ての時期を乗り越えていきましょう!